[Montana Market Report]
風を読む パンドラの箱 −−株式レポートより−−
昔々、フォーブスにコラムを書いていた頃、初めての入稿前に、デモコラムを編集長に持っていった。
編集長はそれを見て、もっと分かりやすく、一般的な方がいい、と言った。
バブル後の初めての8000円割れとなる数年前の話である。
今週のタイトルを決めた後、当時その原稿に何を記していたのか気になって、古いPCを検索した。
以下当時の原稿である。
--------------------------------------------------------------------------------
ユングに言わせれば、現代人とて神話の中でしか生きることができないのだそうだ。
経済という神々を崇める現代でも、神話は語り継がれ信仰されてきた。
日本国民は終戦と同時に、本当の神々を捨ててきたにも関わらず、高度経済成長という
神々だけは見捨てることは出来なかった。
「成長神話」の崩壊を認めながらも、それらの中でしか生きることができなかったのである。
「土地神話」「企業神話」が音を立てて崩れていくなか、それらの信仰を捨てきれなかった
投資家は、資金をつぎ込むことによってさらに大きな傷を負っていったのである。
さて、日本のバブルが崩壊してなお、強烈な神話を作り上げたアメリカ、しかし、日本のみならず
全世界から信仰されてきたその経済も、ここにきて大きく揺れだした。
その国に残る神話がいまにも崩壊しそうなのである。
例えば「投信神話」は、誰でも稼げるブル市場、NY株式市場においてのみ語られ、長期上昇
トレンドはファンドマネージャーの誰をも天才にし、神の領域に近づけた。
しかし、どんなに高等な知性を身につけても人間が神に近づけないのは、その欲望をコントロール
する術を知らないからである。
現代の金融市場は数学、統計学を駆使した新しい分野に花を咲かせたが、同時にデリバティブ
という怪物を生み出してしまった。
神の手から落ちた欲望の怪物は、ついに投信を喰いはじめたのである。
本来、先物をはじめとするデリバティブは取引を円滑に行うために作られた制度であった。
少ない資金で巨額の利益を生み出す彼を怪物にしたのは物欲の業である。
利益を独り占めしようとする人間たちこそが本当の怪物であると分かる頃、利益の大半は
土に帰っているはずである。
--------------------------------------------------------------------------------
これがボツになった原稿だったが、10年近くも前に書いた原稿の内容が今、そのまま使えるのは
なんとも感慨深い。
タイトルは「パンドラの箱」であった。
この話は、アメリカについては、早すぎた。
どのみち、ボツの原稿だったかも知れない。
さて、今パンドラの箱をタイトルにするのは、パンドラの箱を開けてしまった、という話ではない。
パンドラの箱はすでに10年前には開けられていて、今はその災いが活躍しだしているところである。
外へ飛び出したこれらがさらに暴れ出すのはまだ先である。
今はその中のほんの一部が動いているに過ぎない。
その原稿はこう締めくくられていた。
”大いなる神アメリカに引っ張られてきた世界経済、しかし彼は好奇心に駆られ
再びパンドラの箱を開けた。
ドル、投信といまだ根強く残る神話にも災いが降りかかってきたようだ。
パンドラの箱の中に残る最期の希望、もうそれはアメリカだけのものではないのである。”
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風を読む パンドラの箱 −−株式レポートより−−
昔々、フォーブスにコラムを書いていた頃、初めての入稿前に、デモコラムを編集長に持っていった。
編集長はそれを見て、もっと分かりやすく、一般的な方がいい、と言った。
バブル後の初めての8000円割れとなる数年前の話である。
今週のタイトルを決めた後、当時その原稿に何を記していたのか気になって、古いPCを検索した。
以下当時の原稿である。
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ユングに言わせれば、現代人とて神話の中でしか生きることができないのだそうだ。
経済という神々を崇める現代でも、神話は語り継がれ信仰されてきた。
日本国民は終戦と同時に、本当の神々を捨ててきたにも関わらず、高度経済成長という
神々だけは見捨てることは出来なかった。
「成長神話」の崩壊を認めながらも、それらの中でしか生きることができなかったのである。
「土地神話」「企業神話」が音を立てて崩れていくなか、それらの信仰を捨てきれなかった
投資家は、資金をつぎ込むことによってさらに大きな傷を負っていったのである。
さて、日本のバブルが崩壊してなお、強烈な神話を作り上げたアメリカ、しかし、日本のみならず
全世界から信仰されてきたその経済も、ここにきて大きく揺れだした。
その国に残る神話がいまにも崩壊しそうなのである。
例えば「投信神話」は、誰でも稼げるブル市場、NY株式市場においてのみ語られ、長期上昇
トレンドはファンドマネージャーの誰をも天才にし、神の領域に近づけた。
しかし、どんなに高等な知性を身につけても人間が神に近づけないのは、その欲望をコントロール
する術を知らないからである。
現代の金融市場は数学、統計学を駆使した新しい分野に花を咲かせたが、同時にデリバティブ
という怪物を生み出してしまった。
神の手から落ちた欲望の怪物は、ついに投信を喰いはじめたのである。
本来、先物をはじめとするデリバティブは取引を円滑に行うために作られた制度であった。
少ない資金で巨額の利益を生み出す彼を怪物にしたのは物欲の業である。
利益を独り占めしようとする人間たちこそが本当の怪物であると分かる頃、利益の大半は
土に帰っているはずである。
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これがボツになった原稿だったが、10年近くも前に書いた原稿の内容が今、そのまま使えるのは
なんとも感慨深い。
タイトルは「パンドラの箱」であった。
この話は、アメリカについては、早すぎた。
どのみち、ボツの原稿だったかも知れない。
さて、今パンドラの箱をタイトルにするのは、パンドラの箱を開けてしまった、という話ではない。
パンドラの箱はすでに10年前には開けられていて、今はその災いが活躍しだしているところである。
外へ飛び出したこれらがさらに暴れ出すのはまだ先である。
今はその中のほんの一部が動いているに過ぎない。
その原稿はこう締めくくられていた。
”大いなる神アメリカに引っ張られてきた世界経済、しかし彼は好奇心に駆られ
再びパンドラの箱を開けた。
ドル、投信といまだ根強く残る神話にも災いが降りかかってきたようだ。
パンドラの箱の中に残る最期の希望、もうそれはアメリカだけのものではないのである。”
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